2011年09月19日

閖上まちカフェ 奇跡のカーネーション

明け方から小雨が降り、空気は急に秋になった。

楽しかったキャンプ場をあとに閖上町へ向かう。町の中心が津波で流されてしまったという閖上。どんな人がどんな思いで集まってくれるのかしら..霧雨の天気のように、気持ちに霞がかかったよう。

名取のインターチェンジを出ると、道こそ片付いているが、道の傍らに船がうちあげられたままになり、逆さの車も目に入ってくる。窓のない家、人気のない小学校。お寺の本堂は柱だけが残り、裏手の墓石はめちゃめちゃに折り重なっている。目抜き通りや海沿いの住宅だった場所にはほとんど家はなく、ところどころに基礎が残るだけだ。瓦礫を処理するショベルカー、そこここに作業中にまた津波が来たときに避難するための築山が作られている。もとの町がどんな形だったのか、おしはかるすべもない。

町の中心にむかう大きな歩道橋を過ぎるたところに「まちカフェ」はあった。特別頑丈そうには見えない木造の集会所。部屋の中には方の高さを越えるあたりに水の後がくっきり残っている。それでもこの建物はこの場所で持ちこたえた。

集まってくれた人はすぐ裏に家は残ったけれども住むことができないというご一家、実家がこの町にあり、お母さんを津波でなくした方、ハマボウフウを増やす活動をしていたけれどももうそれもできない、代わりに閖上の復興を目指す、という方、当然全く被災していない人はいない。

そんな中だけれど、ピアノを運び、コーヒーが配られるとだんだん空気が和んでくる。
頼むね、音楽のチカラ。
Over the Rainbowや When You're Smilingがいつもと違う意味を持って響いてくる。
「あなたが微笑むと世界があなたとともに微笑む」 
笑うことなんてできる?そういう時間を乗り切ってきた被災した方の笑顔の持っている想像を超えた力。
今この歌はその力にエールを送る、応援歌。

What a Wonderful Worldをリクエストされて、ああ、こういう曲を皆さん、受け止めてくださるのだと思った。
光に向かって手を伸ばす、本能のような力。音楽とともに笑い、涙する心。
手拍子をし、体をゆらし、時に涙ぐむ皆さんの姿を見ていたら私も涙が出てきてしまった。
そして心にかかっていた霞が晴れて驚くほど澄んでいくを感じた。
勇気をもらうのはいつもこちらのほうなのだ。音楽を楽しんでくださった皆さんに心から感謝します。

演奏後、近くの生産者の方がカーネーションの大きな束を届けてくださった。「あまりいいのじゃないんだけど」照れ笑いをしながら。塩水で多くがだめになってしまったなかで町の復活を象徴するように咲き続けるカーネーション。なんていとおしい。

帰りがけにかけてもらった言葉
「私の歌でこんなに元気になった、という町の姿をまた見に来て下さい」 
はい。また必ず皆さんに会いに来ます!

カーネーションはその後2週間、元気に咲いている


posted by Alligator Natsuko at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々徒然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック