2016年09月03日

ニューオリンズのソロピアノ恋しや

al broussard.jpegニューオリンズに行き始めた頃バーボンストリート717番地にTricou Houseというバーがあった。そこでAl Broussardというおじいちゃんがほぼ毎夜、ピアノを弾きながら歌っていた。アップライトピアノに座っている姿が表通りから見え、彼は通りを往く人に「入っていかないかいレディ」なんて声をかけながら、ハッピーな歌とピアノを湧き出るように途切れなく演奏していた。
ルースや、ストライドや、ゴスペルがごちゃまぜ自由に出てきて、リクエストはうろ覚えでもとにかく歌っちゃう。お礼に「ジョニ黒を」おごってくれようとする客に「俺は赤しか飲まない」なんて頑固なところも見せながら、まるでバーボンストリートの風景の一部みたいに演奏をしていた。
一歩外へ出ると酔客のラッシュ、騒がしくて猥雑なバーボンストリート。でもAlのところに来れば、古い映画の中に入ったような懐かしく温かい、気分になることができた。

ニューオリンズピアノ、というのは単なる奏法とかスタイルではなく、言葉で表現し尽くすのはとても無理なのだけれど、彼らには何か共通したものがある。学生の時初めて聞いたJames Bookerの On The Sunny Side Of The Street で 雷に打たれたような心の揺れを感じてから、ニューオリンズ、ピアノソロ、というキーワードを手がかりに実に個性豊かなピアニストに巡りあってきた。当時すでに有名だったDr.John もバンドのアルバムはまずまず楽しい、と思っていたけど、彼の本名名義で出した2枚のソロアルバムの美しく、カッコ良かったこと。そして鬼才James Bookerの流れを組むHenry Butlerをニューオリンズで身近に見た日々は私の人生の宝だ。
ユーモアこそ音楽を彩るもの、と教えてくれた女性ブルース&ブギの弾き語り Katie Webster 、今まさに油の乗ったニューオリンズピアノの御曹司 Davell Crawford。

みんな強烈にSwingし、ソウルがにじみ出るところは共通。必ず持っている必殺芸があるところも。
そしてどこかちょっといびつで、毒がある。
フグみたいなもんですかね。

さて、週末は、ヨコスカトモダチジャズというジャズフェスで、夜は関内でもソロ。
懐かしいALの作ってくれた空間を思い出しながら、賑やかなフェスの横丁で酔客を待とう。

posted by Alligator Natsuko at 02:56| 神奈川 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『必ず持ってる必殺技』・・・これは芸能やプロレス(胡散臭いヤツw)の基本ですね。
キター‼ 分かっていても何度でも同じネタでウケるという(^^)
Posted by 教授M at 2016年09月03日 06:41
胡散臭さ、ニューオリンズピアノおじさんの特徴をとらえたいい言葉ですねえ。
Posted by natsuko at 2016年09月04日 07:38
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